2018/9/23(日)ALSコミュニケーション支援 県立奄美図書館

西九州大学リハビリテーション学科 作業療法士 植田友貴先生

コミュニケーション支援の基礎
コミュニケーション障害とは?
何らかの原因により、発語や表情表出などが障害され他者との意思疎通が困難になること。
原因:神経、筋難病、脳卒中、脳外傷など。四肢や表情筋が麻痺することで生じる。

思いを伝えるのは言葉だけじゃない→表情、身降り、手紙、メール
コミュニケーション障害の末期症状
・MCS(minimal communication state)最小限のコミュニケーション状態(瞬きの回数や眼球の動きなど)
・TLS(totally Locked-in state)閉じ込め症候群
目は口ほどに物を言う。
本当は表情があるのに、誤解をされてしまう。

医療・福祉サービスは提供時間が限られている。
意思疎通に時間がかかれば、提供できるサービス時間は減る。
意思疎通が容易になれば、スタッフの支援時間は増える。→QOLの向上
だがこれは、労働基準法でまもられた話

家族は?
家族はコミュニケーションをとれないと自分の人生を削ることになる。(趣味、外出、風呂の時間や常に本人と移動)

話せないことで困ることは?
患者:受け身のまま、要望が伝えられない、愚痴も言えない・・・
家族:何をしたらいのかわからない、どんなにがんばっても報われない・・・

★忖度では何も伝わらない。
「はい」「いいえ」だけでいいのか?「ありがとう」を伝える時は?

「想い」を伝える方法
・ノンテク(普通のこと):目配せ、表情
・ローテク(ちょっとした工夫):筆談、文字盤
・ハイテク(パソコンなどの電子機器):意思伝達装置

★コミュニケーションの基本
ノンテク&ローテクができなければ、ハイテクにはなかなか進めない

文字盤
文字盤の作り方:画像参照
文字盤には個人にあったものを作成
あいうえお順だけでなく、よく伝える項目のリストで作成、数字をつけ、数字でよみあげていくなど。
クルーガンで縁取りすることで、指しやすくなる。

パソコン
方法1.手持ちの機器/方法2.専用機器+専用ソフト
Windowsパソコンを簡単につかう方法
・手を吊り上げてキーボードを操作・・・三角巾や、専用の装具を使用
・口で棒をくわえ操作
・市販のマウス(画像参照)
ハイテクの種類
Windowsパソコンで動くソフト
iPad(ios)で動くソフト
専用機

ハイテクでは文字の入力、メールだけでなくインターネット、環境制御も可能。

意思伝達装置の種類
・伝の心・・・比較的簡単。意思疎通、メール、ネット。
・オペレートナビ・・・Windowsの操作支援ソフト。ボタン一つでパソコン機能がほとんど使える。
・レッツチャット・・・対面でのコミュニケーションに特化した専用機。高齢者につかいやすい。

意思伝達装置のメリット
身近環境の自己管理(設定でテレビやエアコンの調整が一人でできたり)
社会的な生活(外部とのつながりや自由な情報収集)
自由なコミュニケーション”ありがとうが伝えられる”

意思伝達装置は、スイッチの選択が大事!!

スイッチの進め方
1.患者さんのからだで、どこが動くかを観察
2.どこかうごかせる所はないですか?と聞いてみる
どこも動かせない、という言葉を信じない。
探すと意外に動かせる場所がある。(指先、眉毛)
姿勢を変えて
【すこしでも動けば十分】

動くところがあればどうにかなる。

スイッチの場所は、安定して疲労が少ない部位を選択
スイッチがずれる時は適度に固定
本人の手足サイズで調整

★ちょっとした一言で頑張れる
患者→家族:ありがとうの言葉
患者→スタッフ:今日からよろしくお願いしますの言葉

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